マイルス・デイヴィスの死亡記事@NewYork Times

Miles Davisの訃報

毎日死亡記事を読む試み。
2日目は、誰もが知るジャズの巨匠、マイルスデイビスの訃報。

ニューヨーク・タイムズが報じた100人の死亡記事』より気になった部分や感じたことをざっくりと。

 

マイルスの生い立ちはもちろん、
さすがに音楽性の変遷に焦点を絞った死亡記事だった。

 

そのソロ演奏は、バラードのメロディのささやきに静かに 思いをめぐらすものであれ、ビートにこぶしを突き出すもの であれ、多くの世代のジャズミュージシャンの手本になって いる。より速く、より高い音を奏でるトランペッターはいるが、彼はその技術を超えて、フレージングと「間」の感覚と いう影響をもたらした。

「私は常に、省くことのできる音に 耳を傾ける」と語っていた。

 

一九五七年、デイヴィスは声帯にできた結節の摘出手術を 受けた。その二日後、本人いわく「望んでいない契約に同意 させようとした」人物に怒鳴り声を上げた。そのせいで、彼の声は恒久的なダメージを受け、しゃがれたささやき声しか 出せなくなった。

へえ、全然知らなかった。

 

65歳はなかなか若い死だけれど、
ドラッグあれこれもしてて音楽もとっても濃い生涯だったので、
まあ、どんなアーティストからしてもいうことなし、な生涯だろうな。

カリフォルニアで没したのも意外な感じ。
てっきりNYだと思っていた。

 

後期についてもこうまとめられている。

レコーディングの際に は、ミュージシャンたちとのライブ演奏を通じた相互作用を まとめるのでなく、ポップアルバムのように各パートを別々 に録音するスタイルを取るようになっていた。それでも、ス テージの上でもレコードでも、激烈なまでの美しさが存在す る瞬間は健在だった。その美こそ、マイルス・デイヴィスが アメリカ音楽に残したレガシーだ。

うん、うん。

 

やっぱりクールジャズからハードバップへの移行する『Walkin'』あたりが一番わかりやすくて好きかなぁ、個人的には。

 

彼は数年ごとに自らののグループを構成するメンバーを変えた。
そして、そのたびに評論家から非難された。
「私は変わらなければならない」と、かつて彼は 言った。
「それは呪いのようなものだ」

 

電化マイルス時代の場面で、
『パンゲア』とともに『ダーク・メイガス』が挙げられていて、
(『アガルタ』じゃない)
まだ聞いたことなかったので今夜ゆっくり聞いてみることにする。

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nejimakinikki.hatenablog.com

 

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「星間旅行 / 池澤夏樹」の詩を読んで。

“時が降ってくる 小さな粒子が鉛直に降下して

微光を放ち分裂し 消滅し

電荷を分って散乱をくりかえす

気まぐれな軌道を素早くたどり 下方の重い暗黒の中へ飛び去る”

オッペンハイマーかと思うぐらい、 粒子の粒が見えてくるような詩の冒頭。

“夢の毒はすぐに日常の外へあふれ出す”

宇宙のスケール、科学の神秘がたて続けに書かれ、 自分の存在がわからなくなっているような詩。

古本屋で購入。今まで池澤夏樹の詩ってあまり読んだことなかったけれど、 こんな尖った人だと思ってなかった。

『序詩 / 尹東柱』

『尹東柱詩集 空と風と星と詩』より

一カ月間、毎日詩を読むチャレンジ3日目。

2024年5月にやりたいことリスト5選 - ねじまき日記

 

今日は、京都にゆかりのある韓国の尹東柱という詩人の詩集から一編。

 

「序詩」

死ぬ日まで天を仰ぎ

一点の恥じ入ることもないことを、

葉あいにおきる風にさえ

私は思い煩った。

星を歌う心で

すべての絶え入るものをいとおしまねば そして私に与えられた道を

歩いていかねば。

今夜も星が風にかすれて泣いている。

(一九四一・一一・二〇)

『尹東柱詩集 空と風と星と詩』 P9 より

 

短いので詩をそのまま引用してみた。
あまりに有名な冒頭の序詩。

 

京都の今出川通りを歩きながらこんな詩を書いたのかな、と思いつつも、
27歳で獄死したことを考えると、なんとも言葉にできない感情がわいてくる。

 

今夜も星が風にかすれて泣いている。

「おれは電熱の肉体を歌う」 / ウォルター・ホイットマン

ホイットマンとアメリカ

毎日詩を読む試み2日目。

アメリカの詩人、ホイットマンの詩集『おれにはアメリカの歌が聴こえる』より。

数年前に積読していて、
しおりがこの詩「おれは電熱の肉体を歌う」に挟まっていたのでこれを読むことにした。

 

ニューオリンズで奴隷が競売にかけられる様子を描いた詩。

見ている主人公は、その肉体に尊敬の念を持っているようで、
それを迸ることばで表したような詩なのかなと。

 

ウェザー・リポートのアルバム『I Sing The Body Electric』、
これが元ネタなのは知らなかった。

 

"何か神聖なものがあるとすれば、人間の肉体こそ神聖、 しるし

そして、人の栄光と歓喜こそ穢れなき人間性の印、

そして、男であれ女であれ、清く強く固く編まれた肉体は、どんな美貌よりも美しい。"

 

生で観る奴隷競売はそれは、衝撃だろうなと思うけれど、
こういう形でアメリカの汚点が残っているのはなんともいえない気分になる。

 

「三つのイメージ」 / 谷川俊太郎 毎月詩を読む:1日目

『自選 谷川俊太郎詩集(岩波文庫)』より

※5月は月間チャレンジとして、 毎日詩を読むことにしました。 nejimakinikki.hatenablog.com/entry/yar…

記念すべき(?)第一日目は谷川俊太郎さんの詩「三つのイメージ」。

火・水・人間と三つのイメージについて書かれた詩。

 “火は平和へのたいまつとなり  戦いへののろしとなり  火は罪をきよめ  罪そのものとなり  火は恐怖であり  希望であり  火は燃えさかり  火は輝く  ――あなたに  そのような火のイメージを贈る”

 “水はみなぎりあふれ  水は岸を破り家々を押し流し  水はのろいであり  めぐみであり  水は流れ  水は深く地に滲みとおる”

思わぬところにギョッとするようなことばを挟み、 読者のイメージをうねらせる 言葉のリズムも流石にすごい。

 “あなたに  火と水と人間の  矛盾にみちた未来のイメージを贈る  あなたに答えは贈らない  あなたに ひとつの問いかけを贈る”

・・・と 〆るのところに優しさが見えて、世界って広大だな、と読み終える。

5月は月間チャレンジとして、 毎日詩を読むことにしました。

持っている(積読している)詩集からパラパラとめくってこれにしたけれど、 まさに詩のよさを体現したようなもので、さっそくいいもの読めたなぁという感じ。

おすすめの詩集があれば、コメントやメッセージ頂けると幸いです。

ねじまき