フリースタイルな僧侶たち Vol.62 を読んだ感想

宗派を超えたお坊さんが集まって創刊したフリーペーパーだそう。 62号は「金」がテーマ。(・・・逆にここまで何がテーマだったのかすごく気になる)

“でもおそらくわたしたちは、無常の隙間で願ったそのかがやきに用があるのだ。”

ジュエリーアーティストから箔押師のインタビュー、 そして「私の金」をテーマに「あなたにとっての金色は?」という特集までどれも興味深かった。 変に仏教仏教してないところも良い。

荘子itさんの金閣寺に関するコラムも掲載されていて、 わりかし気合の入ったフリーペーパーだった。

”だが、皮肉なことに、金閣寺が絶対権力者足利義満の 権威を示すものであるのに対し、荘子が南華老仙となって張角に太 平要術の書を託したことで黄巾の乱が起こり戦乱の世の火種となっ たように、受動と能動、保守と革新、安定と変革の二項対立が逆 転することもある。グローバルなネオリベが既存の社会システムを温 存し、愛国者が革命や戦争やテロを起こすように。”

”さらに、金城となった僕と金閣寺の共通点は「金」だけではない。 「嫉妬(シット)」もそうだ。三島由紀夫の小説『金閣寺』は美への 嫉妬を主題としている。嫉妬は、俗世間的な感情の最たるものだと 思う。純粋な飢餓感ではなく、自他の比較を通して生まれるものだ からだ。嫉妬をする状態というのは、ある意味、自他の境界に執着 しない悟りの境地と最も遠いのではないだろうか。荘子 it という名に嫉妬を忍ばせたのは偶然ではない。悟り切ることも、畜生のように「ソーシット(めちゃクソ)」であることもまた、音楽の上では同等に肯定したいからだ。”

“嫉妬で焼かれた後に、さらに金箔の量マシマシで建て直され、今で も圧倒的な観光名所であり続けている金閣寺には、外見の美しさ以 上に、一筋縄では行かない世俗の矛盾を生き抜く図太さが宿ってい る。そんな金閣寺が僕は大好きなのだ。”

編集長は稲田ズイキさんという方だそうで、 ここまでしっかりカルチャーと絡めたZINE的なものを作るのはほんとすごい。 過去号も読みたくなった。

発行所:フリースタイルな僧侶たち 入手場所:忘れた。

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